多様でユニークなモデル

前ページでも述べたように、ウェンガーは非常に精緻で多彩なツールを擁していた。
それらを組み合わせ、実に様々なモデルを発売していて、Victorinox に比べても全モデルの把握が非常に難しい。
それだけにとどまらず、レフター(左利きの人)用のモデルまで販売していた(詳しくは次のページで述べる)ため、その数は更に多くなる。

専門性の高いモデルが多くなると、数は多くなくとも「刺さる」人も増えるわけで、そうした人はウェンガーからなかなか離れられないため、中古市場は常に活況となっている。

少しだけ、ウェンガーの魅力的なモデルを挙げてみよう。

プライヤー(ペンチ)一体モデル

ウェンガーには、POCKETGRIP / WENGERGRIP と呼ばれるプライヤー一体型モデルがあった。

レギュラーサイズにプライヤーが生えたモデルの他、ラージサイズのモデルもあって、そちらは現ビクトリノックスのラージ・マルチツールに血脈が残っている。
対してビクトリノックスは、「スイスツール」と称してレザーマン的なモデルを出した。

レンジャーシリーズ

ブレードやグリップの形状を見て判る通り、現ビクトリノックスの「レンジャー」と付くラージサイズのシリーズは、ウェンガーの血統そのものだ。
ビクトリノックスになって、ロゴの他に缶切りとリーマーが変わったが、あとはそのまま販売され続けているようだ。

専門性の高いモデルたち

ウェンガーにはこれらの他にも、シガーカッター、スキーのワックス用ツール、統計修理用のツール、ゴルファー用のツール等、ビクトリノックスには無いユニークで専門性の高いモデルがいくつもあった。
大部分は吸収された後消えてしまっているが、シガーカッター付きのモデルは今も発売されている。(ただし生産・在庫状況は不明)

中にはオーボエ奏者のためのリード調整用ナイフなんてものまであった、マニアック過ぎてちょっとついていけないレベルである。

かつてのウェンガーのラインナップを調べてみるのは、非常に面白い。

そしてウェンガーの多くのモデルは、今なお使用に耐え、性能的にも現代のビクトリノックス製のものに劣らないので、普通に実用品として考えることができる。
うっかり欲しいモデルを見つけてしまったら、そこはもう沼の入り口だ。

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