
リーマー?と書いたが、ここでは背面の尖ったツールのことだ。
というのは、双方よく似た形状のツールではあるが、双方で呼称が違う・・・つまり実は違うツールであって、当然ながら想定する用途が違っているのだ。
ビクトリノックスでは「reamer」となっていて、これは穴を広げる工具のこと。
対するウェンガーの方は「awl」となっていて、これは千枚通しのことだ。
双方の単語を画像検索してみるとわかるが全く違う工具なので、単純に同じ用途で優劣を付けることはできない。
ビクトリノックスのものは先端が鋭く、片側に刃がついていて形状的に穴を穿ち易くなっており、また穿った穴に糸・紐を通すためと思われる穴もある。
ただ布類に対して使うと考えた場合は微妙だ、先端が鋭過ぎるのと、刃が付いているため刺す時に繊維を痛めてしまうからで、そう考えると穴の存在もちょっと微妙になってしまう。
結局は、主に皮や木材等に対して使うべきツールだろう。

対してウェンガーの方はただの錐先でしかなく、しかも先端が鋭くもないが、これは布類に対して使うことを意識しているからだろう。
布類に対して使うのであれば、生地を傷めず繊維の隙間を広げる形で穴を穿てるこちらの方が向いているが、それなら糸・紐通しの穴が欲しかった気もする、スモールモデル(65mm)「Pocket Tool Chest」やラージモデル(125mm/130mm)の同ツールにはちゃんと穴が開いているのに、この点は惜しい。
なおビクトリノックスのような刃物的な鋭さはないものの、木材等に対しても普通に多少の穴を穿つことはできる。(深い穴は無理だろう)
ヴィクトリノックスに吸収されてからの現行ウェンガー系モデルでは、全てビクトリノックス式、つまりリーマーに統一されている。